企業向けに加工用食品や食品添加物を製造する会社の品質保証部門で、5年間クレーム担当をしていました。
クレーム対応は営業部門を通じて入った顧客からのクレームや問合せに回答します。
案件によっては、報告書の作成したり、顧客のもとに直接説明をしたりします。
法律に抵触しそうな案件や健康に影響を及ぼす可能性があるような案件では、早急に対応する必要があります。
そのため多くのケースで、クレーム担当には負荷(ストレス)がかかります。
ふくさんは、5年間心身を壊すことなく、クレーム対応を続けることができました。
むしろ続けることで「楽しい」と思えることがありました。
そこで今回は、なぜクレーム対応がストレスフルなのか、クレーム対応が楽しいと思えるようになるための心得えを解説します。
クレーム対応はなぜつらいか
食品のクレーム対応がストレスフルになるには次の理由が考えられます。
- 自社製品に問題があるかを早急に判断しないといけないため
- 対応が長期化することがあるため
- 社内と顧客の板挟みになることがあるため
- 対策に限界があるため
自社製品に問題があるかを早急に判断しないといけないため
例えば顧客から顧客の最終製品に異物混入があり、自社にクレームの申し立てがあった場合を考えます。
この様なクレームでは、自社の製品に起因するものか判断する必要があります。
自社の製品に落ち度がないことがあるためです。
しかし、自社の製品に落ち度がないか判断するためには、調査や検証を要する場合があります。
その様なケースでは、即座に回答ができないことがあります。
「顧客から回答の期限が決められたが、情報が揃わない」、そんなことも発生しがちです。
自社製品の責任が明確でない状況では、対応に苦慮することがあります。
対応が長期化することがあるため
クレーム対応の中には、対応が長期化することがあります。
原因が特定できない場合や顧客の満足が得られない場合に長期化します。
対応に終わりが見えず長期化すれば、クレーム担当は継続的にストレス受けることになります。
社内と顧客の板挟みになることがあるため
多くの会社ではクレーム担当が社内の情報を集めて、顧客への回答を用意します。
回答を用意するために、社内の関係部門に調査/対応/対策を指示することになります。
適切な指示でないと、社内から苦言を言われることも。
顧客からの要望を優先させたばかりに、社内の軋轢を生むことあります。
社内調整を図り、顧客のクレームを抑えるつらさや大変さを抱えます。
対策に限界があるため
クレームの対策(再発防止策)は重要です。
再発を起こしてしまうと、顧客や社会からの信頼が地の底に失墜してしまうためです。
では、次のようなケースで、対策をとることはできるでしょうか。
- クレームの要因が明確にわからない。
- 対策を講じることができるが、講じる場合人員・時間のリソースや多額の投資を必要とする。
クレームの対策では、このような状況を乗り越える必要があります。
場合によっては、一定の対策(完全な対策でない)を講じて、クレームリスクを低減させて対応することがあるかもしれません。
そんな場合はクレームを完全に防いたと言い難く、再発のリスクを抱えることになります。
これは、クレーム担当に継続的なストレスを与える要因となります。
クレーム対応が楽しいと思えるときはどんな時?
それでもつらいクレーム対応していると、楽しいと思えることがあります。
それは、クレーム対応を通じて新しい経験や成果を得たときです。
具体的に次の3つの状況があります。
- 社内の仕組みを知り人間関係を構築できた時
- 新しい仕組みを構築した時
- 顧客との信頼関係を得た時
社内の仕組みを知り人間関係を構築できた時
クレームを受けると社内外で原因を調査することになります。
調査をしていると、今まで知らなかった自社の仕組みや業務を知ることがあります。
「そんな仕組みだったんだ」と思うことがあり、自社への理解が深まります。
また、今まで関わったことのない社内外の人たちと話すことがあります。
クレーム対応を通じて社内の仕組みを知り人間関係を広げられます。
ビジネスパーソンとしてレベルアップが図れます。
新しい仕組みを構築した時
クレームの原因を調べると、結果として社内の仕組みや業務手順に問題があることがあります。
そのためクレームの対策として、問題のある仕組みや業務手順を変更することになります。
クレームをきっかけに既存の仕組みを刷新します。
会社に貢献し、やりがいを感じることができます。
顧客に安心感や信頼感を与えた時
顧客に納得いくような回答を迅速に行うと、顧客の不安が解消されて逆に感謝されることがあります。
クレームをきっかけに、顧客に安心感を与えたことになります。
また顧客との信頼関係ができれば、ビジネスが拡大する機会が増えることにつながります。
クレーム対応の心得え
最後にクレーム対応をつらさから楽しさに変えるために、解決に導く心得えです。
- 回答を急がれたら現時点でわかっている情報を伝える
- こまめに状況を報告する
- 発生現場行く、現物を確認する
回答を急がれたら現時点でわかっている情報を伝える
クレーム対応で自社の調査や検証をに時間を要するケースでは、即座に回答ができないことがあります。
その様な場合でも、現時点でわかっている情報を顧客にとりあえず伝えます。
そして今後やろうとしていることを合わせて報告します。
対応の状況がわかれば、顧客にとっても、今後の見通しを立てることができます。
顧客の不安や怒りを少しでも鎮めるために、現時点でわかっている情報を伝えることは、有効な手段です。
こまめに状況を報告する
調査や検証が進んで得られた結果や見解は、こまめに報告します。
対応が進んでいることを伝えるためです。
また得られた結果に、質問を受けることがあります。
その様な時は、真摯に1つ1つ回答します。
質問は顧客が状況に理解を示しており、疑問点を解消したいと考えている可能性があるためです。
こまめに状況を報告することで、顧客の意見を聞きながら、解決を目指します。
発生現場行く、現物を確認する
調査をしていると発生原因がよくわからない場合があります。
その様なときは、現場や現物を自ら見ることが大切です。
顧客に実感をもって状況を説明することができるようになります。
また、実際に見ることで、人づてではわからなかったことに、気づくことがあります。
発生現場にいき現物をみることで、解決の糸口をつかめる可能性が高まります。
ふくさんのクレーム対応
企業向けに加工用食品や食品添加物を製造する会社の品質保証部門で、5年間クレーム担当をしていました。
クレーム担当をしていると、中には簡単に解決できないようなクレームもあります。
「異物がどこから混入したかわからない!」
「報告書を何回提出しても顧客の理解が得られない…。」
その様な案件のときは、クレーム対応の心得えを実践しました。
原因がわからなくても状況を報告し、顧客とコミュニケーションをとる。
現場と現物を確認して状況を伝える。
すると、顧客の考えや方向性が次第に見えてくることがあります。
顧客と意思疎通が図られ、信頼関係が徐々にできてます。
すると原因の特定ができなくとも、推定される要因から対応策を提示すれば理解が得られることが多くなります。
解決に向かうと、顧客も安心して製品を購入できると気持ちから、対応に感謝の言葉の頂くことも。
クレーム担当として、楽しいと思えるとき、救われる瞬間です。
まとめ
初期対応の重要性と難しさなどから、クレーム対応はストレスフルになりがちです。
一方でクレーム対応を通じて新しい経験や成果を得たときは、「楽しい」と思うことできます。
多くのクレームで共通して、迅速にこまめに顧客とコミュニケーションを図れば、解決の糸口が見えてきます。
「ストレス」を「楽しさ」に変えるクレーム対応は実践可能です。